HSCの特徴

「HSC」の6つの特徴と対処法。その⑤石橋をたたき過ぎる

「うちの子とても怖がりで、初めてのことに挑戦しようとしないんです」

「他の子が楽しそうに公園で遊んでいてもうちの子だけ遊ばず、ママにくっついて離れません」

「何をやるにも確認したがるので、とにかく時間がかかり過ぎてイライラしてしまう」

というパパやママ。

もしかしたらお子さんは、『ひといちばい敏感な子』(HSC)かもしれません。

お子さんがHSCかどうかを知るためのチェックリストはこちらをクリックしてご覧ください。

HSCには、次の6つの特徴があります。

①細かいことに気づく

②刺激を受けやすい

③強い感情に揺さぶられる

④他人の気持ちにとても敏感

⑤石橋をたたき過ぎる

⑥良くも悪くも、注目されやすい

今回はHSCの主な資質の一つ、『石橋をたたき過ぎる』点について取り上げたいと思います。

⑤石橋をたたき過ぎる

HSCは幼児期から、日常のほんの些細な変化にも敏感です。

「ママの服が昨日と違う。ママは昨日の方が機嫌がよかった。あの服を着たらまた機嫌が良くなるのかも」

「ゴミ箱がちょっと移動している。今日はゴミ捨ての日なんだな」

「玄関にパパの靴がない。今日はもう仕事に行ったのかな?」

毎日毎日いろいろなことに気づき、考え、想像し、用心しています。

日常の些細なことに気づくのですから、一歩外に出て新しい場所へ行ったりしたらもう、情報処理で頭も心もいっぱいになってしまいます。

たとえば公園で・・・

「みんなが遊んでいるけど、知らない子ばかり。本当に大丈夫かな?様子を見なきゃ」

「あのすべり台いつものと少し違うよ。危ないかも。やめておこう」

「あの男の子、すごく声が大きくてこわいな。近づかないようにしよう」

ちなみにうちの娘もしっかりこのタイプで、公園に知らない子が一人でもいると公園に入れず、家に帰ることもしばしばでした。

すべり台は一人では決して登りません。

私がどんなに「こわくないよ、一緒に遊ぼう」と誘っても、「こわいものはこわい」ので、誘いに乗ってくれたことなど一度もありませんでした。

利点は危険な目に合いづらいこと

『石橋をたたき過ぎる』というのは長所でもあります。

子どもなのに危ないことは決してしません。

無茶な遊びをしてケガをしたり、塀に登って落ちる心配もありません。

知らない人を警戒するので、誘拐などのリスクも少なくなります。

うちの娘は好奇心に任せて何かを触ったり口に入れたりしないので、ケガをしたことはありませんし、ほとんど風邪もひきません。

親としてはかなりもどかしい時があり、いや、ほとんど毎日もどかしいのですが、そのおかげで娘は健康なんだと思うようにしたら少し楽になりました。

子どもらしい、元気と好奇心いっぱいの微笑ましい姿は、特に外ではあまり見せないかもしれません。

でも心の中はいつも忙しく考えたり感じたり情報処理をしたりしています。

時間をかけて観察し『ここで遊んでも安全だ』と子どもが判断した時にはもう家に帰る時間になっていて、それはそれで親は大変という事態になったりもします。

HSCを育てている親は、自分が思っていた『普通の子ども像』を一度投げ捨てる必要があります。

好奇心が先立つ普通の子ども像が頭にあると、まったく違う我が子の姿にイライラしてしまうからです。

子どもの敏感な資質は変わらないので、親の『子ども像』を変えないと、お互いにストレスになってしまいます。

対策①子どもの目線で観察

まだ生まれて数年しか経っていない、初めてのことばかり、用心システムの精度が他の子より高い、ということを考えると感情移入しやすくなります。

「水がいっぱいのプールは危険に感じるよね、実際気を付けないと危険だし」

「たしかにあのすべり台の上から落ちると想像するとこわいよね」

「手を真っ黒にして遊んでいる子と一緒に遊んだら、自分も手が汚れてしまうと想像するんだね」

なるべく子どもの気持ちに寄り添う反応をすると、子どもの警戒心は少しづつ解けていきます。

少なくとも、強制されると必ず反発します。

『無理やりやらされそうになった』ということがしばらく忘れられず、まったくの逆効果になります。

慣れるまでは時間がかかりますが、結局は気持ちを受け止めて共感してあげる方が近道になります。

それまでは、危険なことをしない「生きる力のある子」と考えて長所に注目すると、イライラを少なくすることができます。

対策②『だれかに頼れる』と伝える

少し大きくなっても、初めての場面では子どものための避難所を作っておきます。

ママが見える場所にいてあげる。

疲れたり嫌になったりしたら、いつでもママのところに来てもいい。

「ママが先生にお願いしておくから、何かあったら先生に話してごらん」

「だれかに聞かれたらママが説明してあげるよ」

というように、『困った時は誰かに頼ってもいいんだ』と分かっているだけでも、一歩踏み出す勇気を得られる場合があります。

『つらい時は逃げ場がある』というのは、物事を深く処理するHSCにとって、とても大切なことです。

対策③目標は一歩ずつ、少しずつ

簡単にできるステップを用意して、一つずつ進ませます。

たとえば公園で・・・

「だれかと遊ばなくていいよ。ここで一緒に見ていよう」と勧めます。

HSCは観察力があるので、これだけでも十分な刺激となります。

だれかが水遊びや喧嘩を始めると、こわくなり「帰る」と言うかもしれません。

でも「一緒に見る」という目標は達成したわけです。

次に「すべり台の手すりを触ってみよう」というステップを用意できます。

ここで覚えておくべきことは、子どもの用心システムは常に作動しているということです。

一歩進んでも、またできなくなることがあります。

そんな時はがっかりせず、また最初のステップに戻ってみたり、しばらく時間を置くほうが良いようです。

最後に

みんなと同じように遊べない、用心深すぎる、遊びの経験や体を動かす経験が他の子より少なくて心配。

本当に親は悩み心配になります。

でも子どもの目線で観察し共感してあげることや、困った時は誰かに頼れると教えてあげること、さらに小さなステップを用意してあげることで、少しずつ「やってみよう」という気持ちになれるでしょう。

他の子よりかなりゆっくりですが・・・

本当に少しずつなので、親にはかなりの気の長さが求められます。

でもこの『無茶なことをしない』という性質は、本当にお子さんを守ってくれる優れた面です。

思春期になってからもある意味安心です。

仲間に誘われても、悪いことや違法なことに手を出しません。

前もって危険なことを教えておけば、その状況に出会った時必ず慎重になります。

これは親として、とても誇らしく安心できることではないでしょうか?

やがて親の手を離れる時が来ることを考えると、本当の意味で心配のない子ということができます。