家事代行

3回目でスタッフ交代。元家政婦の私が、お客様に満足いただけなかったお仕事。

感情ボール

今までの家事代行シリーズでは、自分がさも『できる家政婦』のような顔をして記事を書いてきました。

しかしたくさんのお客様から信用されて、満足してもらえて、若干調子に乗っていた時、ついに私にもその日がやってきました。

他の人に替えてください

変更

運命の電話がかかってきたのは、家族や友人と旅行中のホテルでした。

なぜよりにもよってこのタイミングで・・・

旅行中に携帯電話に着信があって、画面を見たら会社からって、

嫌な予感しかしないですよね・・・

電話に出ると暗い声の上司。

でもなんだか私に気を遣っているような話し方をするので、内容がよくわからず聞き返したりしていました。

「でははっきり言いますね。お客様の〇〇さん、あねごんさんのお仕事にご満足いただけなかったようです。スタッフの交代をご希望ですので、あとのことはこちらにお任せください」

これは初めての経験でした。

旅行中ながら、自分の仕事の何がいけなかったのか必死で考えました。

もちろん旅行中の楽しい記憶はあまりありません(泣)。

実は予感は最初から

そのお客様は外国の女性の方で、都内の高級マンションに一人でお住まいでした。

外国の方の家へのこだわりは、私たちの想像を超える場合があります。

それは十分に心得ていたつもりですが、その方の家はいままで私が見たどの外国人のお宅よりも数倍ピッカピカ、いやビッカビカでした。

モデルルームなんて比じゃないです。

チリ一つ落ちておらず、下手に掃除などしたら、ふきんの拭き後や指紋でかえって汚れてしまうのではないかと思うほど、どこもかしこも美しいのです。

こんな美しすぎる家で、3時間も何の作業をすればいいのだろう?と本気で思いました。

お客様の要求レベルが分からない

最初にお宅を拝見したときの、私の率直な感想です。

汚れた部屋をきれいにするのは簡単ですが、きれいな部屋をもっときれいにするのは至難の業なのです。

実際、何もすることがないと思ってしまいました。

「今週は4日も家にいたから汚れてるでしょう。よろしくね」と言うお客様。

ど、ど、どのあたりが汚れているのでしょうか・・・??

もう直感的に「私のレベルではこのお客様を満足させられない」と思ってしまいました。

引き継ぎの難しさ

さらに難しかったのは、今までのスタッフにお客様が満足していたことです。

そのスタッフは海外へ移住するために退職することになり、私が引き継ぐことになったのです。

これほど難易度の高いものはありません。

とにかく、その『前スタッフ』と同じようにやることを心掛けました。

有名なデザイナーに家具やインテリアをまるごと外注して完璧な位置に配置されているので、椅子を数センチ動かしてもいけませんでした。

動かす物は、リモコンの角度をまっすぐにすることくらいでした。

目に見えるほこりなど一切ないリビングを、綿の白手袋をはめてダスティングしたのは、このお宅が初めてでした。

3度のクレーム

引き継ぎも終わり初めて一人で作業をした日、さっそくクレームが入りました。

『ベッドの下にほこりが落ちていた』

これはケアレスミスですね。注意が欠けていました。

素直に反省し、次回からは目を皿のようにして作業しました。

そして2回目の作業日に、再びクレーム。

『ベッドメイキングがしっくりこない』

ベッドメイキングはお客様によって好みが分かれるところで、このお客様はシーツをものすごくピーンと張ってほしい方でした。

前スタッフは「体重をかけてシーツが破れるくらい引っ張って」と言っていました。

そのようにしたつもりでしたが、引っ張りが全然足りなかったようです。

そして3度目のクレーム。

『タオルの置き方がずれていて気持ち悪い』

『キャミソールの肩紐部分のアイロン掛けが甘い』

タオルを重ねて置いて正面から見た時に、左右がきちんと揃っていないということと、アイロンは力が足りなかったようです。

おそらく他にも指摘したいところはたくさんあったのだと思います。

このクレームを最後に、「スタッフを変更してください」ということになりました。

上司からの指摘と反省

水辺で悲しむ女性

次の週、上司と新しいスタッフと私の3人でこのお宅に行き、作業をしました。

本当はもう私はいらないのですが、鍵の受け渡しと、私への再教育の機会ということになったのだと思います。

このお客様はあまりにも潔癖症で神経質な方だったので、私は半分は自分のせいだけれど、半分は仕方がなかったと思っていました。

でも上司は私の作業を見てミリ単位のことでバシバシ指摘し、「このお客様は難易度が高いけれど、もっと頭を使えば絶対に満足していただけます」と言われました。

「きれいになればいいんじゃない。満足していただくの」

と言われたときは、あまりにも図星で衝撃を受けました。

自分がいつの間にか慢心してしまっていたことに気づきました。

きれいになればそれでいいと思っていました。

もちろんそれで十分満足してくださるお客様もいます。(ほとんどはそうです)

でも私がそれで満足していては、まったく進歩向上していないことになってしまう。

安くないお金を払って依頼してくる、お客様の心理を考えていなかったと反省しました。

最後に

上司に言われたことは確かに図星でしたが、やはりこのお客様にはかなりスキルのあるスタッフが必要で、私には到底無理なことに変わりはありませんでした。(その後3人の交代劇があったそうです)

でもお客様と上司からの初めての厳しいダメ出しで、得られた教訓もありました。

自分には、ちょっと褒められたり実績が出てきたりすると、そこで満足してしまう傾向があること。

どの仕事もそこそこできるけれど、いまいち突き抜けられないのは、このあたりに原因があったようです。

結果としてすべて中途半端な実力で終わってしまうことが多いのです。

それからは「きれいにするだけじゃない、満足していただこう!」と考えて仕事に臨むことができました。

さらに、家事代行業は接客業のようだとも思いました。

上司に指摘されたり叱られたりするのは、耳が痛いしプライドも傷つくけど、結局は自分のためになっているんだなと思い、今では感謝しています。

というわけで今回は、実はあまりたいしたことのない実力であることがバレた、家政婦の話でした~。